コレステロールは悪者じゃない!知らないと損するコレステロールとの付き合い方
「コレステロールってからだに悪いんでしょ?」
「善玉とか悪玉って聞いたことあるけど、何が違うの?」
「お肉は食べすぎたら、ダメなんでしょ?」
美味しいお肉はたくさん食べたいけど、コレステロールの摂り過ぎは気になりますよね。
でも、実はコレステロールを摂っても、体内のコレステロール量はそこまで変わらないって知ってました?
というわけで今回は、以下の流れでまとめたいと思います。
■今回の記事で伝えたいこと
本記事の内容は、万人に効果を保証するものではありません。
ご自身の体調を踏まえたうえで、取り入れるかどうかを各自ご判断ください。
健康面に不安のある方は特に、医療機関の受診およびかかりつけ医とのご相談をおすすめします。
- コレステロールとは?
- コレステロールはからだに必要な物質
- 食事のコレステロール摂取量UP ≠ 血液中のコレステロール量UP
- 善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違いは?
- コレステロールが健康に与える影響
- コレステロールとの付き合い方
- 遺伝的にLDLコレステロールが高い人もいる
- 最後に
コレステロールとは?
人間の血液中を流れる脂質は、以下の4種類に分かれており、コレステロールはこれら4種類のうちの1つです。
コレステロール
細胞膜を構成する成分であり、様々なホルモンや消化液の1種である胆汁酸の材料にもなる。
リン脂質
細胞膜を構成する成分であり、脂質が血液中を移動する際にタンパク質と結び付ける役割も持つ。
中性脂肪
分解されてエネルギーとして利用されるもの。余剰分は皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵される。
遊離脂肪酸
皮下脂肪や内臓脂肪から放出された中性脂肪が分解されたもの。エネルギーとして消費される。
コレステロールはからだに必要な物質
コレステロールは悪者扱いされがちですが、以下に挙げる物質等の材料となるため、悪者どころか欠かすことのできないものと言えます。
細胞膜の材料になる
コレステロールは、リン脂質とともに細胞膜の材料になります。
人間の細胞は常に古い細胞が死に、新しい細胞に入れ替わっているため、新しく生まれてくる細胞を作るためにもコレステロールは欠かせません。
また、がん細胞を退治してくれる免疫細胞の膜も、コレステロールが材料になっています。
ホルモンの材料になる
コレステロールは様々なホルモンの材料となります。
男性ホルモンや女性ホルモンのほか、糖やたんぱく質、脂質の代謝に関与するコルチゾールもコレステロールから作られています。
ビタミンDの材料になる
免疫機能を高める(?!)ことで注目を浴びているビタミンDも、紫外線を浴びることで、コレステロールから作られています。
胆汁酸の材料になる
消化液の一種である胆汁酸も、コレステロールから作られています。
食事のコレステロール摂取量UP ≠ 血液中のコレステロール量UP
コレステロールは、体内で合成できる物質です。
血液中のコレステロールの2割~3割が体外からとり入れられ、7~8割は糖や脂肪を使って肝臓などで合成されています。
食事のコレステロール摂取量が増えると、肝臓でのコレステロール合成量は減少し、逆に食事から摂取する量が少ないと、コレステロール合成量が増加します。
つまり、食事のコレステロール摂取量に合わせて、体内で合成されるコレステロール量がコントロールされているため、コレステロールを含む食品を食べてはいけない、というわけではありません。
善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違いは?
コレステロールは血液中に入ると、たんぱく質と結合して「リポたんぱく質」という物質になり、血液に溶け込める様になった状態で全身に運搬されます。
リポタンパク質には、肝臓で合成されたコレステロールをからだ全体に運ぶ役割を持つ「LDL(低比重リポタンパク質)」と、体内の血管壁にたまったコレステロールを肝臓に運ぶ役割を持つ「HDL(高比重リポタンパク質)」があります。
悪玉(LDL)コレステロール
LDLはからだ全体にコレステロールを運んでいます。
運ばれたコレステロールが血管壁に蓄積されてしまうと、動脈硬化になってしまう可能性が高まることから、「悪玉」と呼ばれています。
悪玉コレステロールと呼ばれてはいますが、その役割が健康リスクに繋がっているだけで、悪玉コレステロール自体がからだに悪いわけではありません。
善玉(HDL)コレステロール
HDLは、からだ全体の血管壁から、コレステロールを肝臓に回収する役割を持ち、 回収されたコレステロールは肝臓でリサイクルされ、一部は胆汁酸の材料にもなります。
からだ中の余ったコレステロールを回収することで動脈硬化の抑制に繋がることから、「善玉」と呼ばれています。
コレステロールが健康に与える影響
コレステロールが余る
コレステロール自体はからだに必要な物質ですが、善玉コレステロールと悪玉コレステロールのバランスが大事になります。
悪玉コレステロールが増えすぎると、体内のコレステロール量が過剰になるため、悪玉コレステロールが余ってしまいます。
コレステロールが余るとどうなる?
余った悪玉コレステロールは血管壁に溜まっていき、体内の「活性酸素」と結びつくことで酸化されます。
酸化されたコレステロール(酸化LDLコレステロール)は血管壁に吸収されやすく、これが増えていくことで、「プラーク」と呼ばれる塊が作られます。
プラークが増えると、血管の壁がどんどん分厚くなっていき、血管が硬くなって弾力性が失われた状態、つまり「動脈硬化」が進行してしまいます。
さらに最近分かってきたのが、超悪玉と呼ばれる「小型LDLコレステロール」の存在です。
まだまだ解明されていない点が多い小型LDLコレステロールですが、
これらの可能性が指摘されています。
動脈硬化が進行するとどうなる?
動脈硬化が進行し、血管の壁がプラークでどんどん分厚くなると、血管が詰まりやすい状態になります。
プラークは柔らかくて壊れやすい性質を持っており、プラークが破れると、破れた部分を修復するために、血液成分の一つである「血小板」が集まってきて、「血栓」ができます。
この血栓が大きくなって動脈が詰まってしまうと、血液がその先に流れなくなってしまうため、血流が届かない組織や臓器が壊死してしまいます。
脳動脈が詰まれば脳梗塞、心臓の冠動脈が詰まれば心筋梗塞、といったように、血管が詰まることで、重大な病気を発症してしまいます。
悪玉コレステロールは少なすぎてもダメ
悪玉コレステロールの多いケースが注目されがちですが、逆に少なすぎると、病気の疑いがでてきます。
などなど
これらの病気になると、結果として悪玉コレステロールが低下するようですので、健康診断などで悪玉(LDL)コレステロールが基準値を下回っていた場合は、すぐに病院に行きましょう。
コレステロールとの付き合い方
ここまでの内容で、コレステロールが健康に与える悪影響は「動脈硬化」であり、余ったコレステロールが酸化することで、動脈硬化が進行し、動脈硬化が様々な病気を引き起こす、ということが分かりました。
このことを踏まえると、コレステロールとの付き合い方において、大事なポイントとしては以下の2点になります。
さらにコレステロールがどれだけ余ろうと、それが酸化するかどうかが重要になってくるため、特に2点目の対策が効果的なのではないか、と筆者は考えます。
コレステロールを余らせない
コレステロールを余らせないためには、以下の方法が考えられます。
コレステロールの回収機能を高める
コレステロールの回収機能を高めるためには、善玉コレステロールを増やすことが重要になります。
善玉コレステロールを増やす食材というのは、今のところ見つかっていないようで、ウォーキングなどの有酸素運動が有効な方法となるようです。
運動によって善玉コレステロールが上がる理由は諸説あり、詳細はまだ明らかになっていませんが、ウォーキングの歩数が多いほど、善玉コレステロール値が高い傾向があることを確認した、という研究もあるようです。
ただし、1度運動したからと言って、それで善玉コレステロールが増える、というわけではないため、あくまでも定期的に運動することが効果的であることに、注意が必要です。
コレステロールの運搬機能を抑える
悪玉コレステロールを減らす、あるいは悪玉コレステロールの増加を抑える方法として、以下が有効だと考えられています。
- オレイン酸(オリーブオイルやアーモンド、マカダミアナッツなど)を摂取する
- DHAやEPA(アジやイワシ、サバなどの青魚)、α-リノレン酸(エゴマ油やアマニ油など)といった、オメガ3脂肪酸を摂取する
- 豆腐や納豆などの大豆製品を摂取する
- タウリン(イカ、タコ、エビ、貝類など)を摂取する
- トランス脂肪酸が含まれるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子を控える
- サラダ油など、トランス脂肪酸が含まれる油が使われている揚げ物を控える
- タバコを控える
※これらの中で、「効果が無い」と言われているものもありますが、逆効果わなけではないので、「試す価値あり」という位置づけで載せています
悪玉コレステロールを抑えるためには、からだに良い油を摂取して、悪い油を控えることが重要となります。「良い油って何?」「悪い油って何?」が知りたい方は以下の記事をご覧ください。
実はお肉はコレステロールを下げる?!
これまで動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は、悪玉コレステロール値を上昇させる、という説をよく耳にしていました。
ところが、以下のサイトでは、お肉の主要な飽和脂肪酸であるパルミチン酸には、これまで言われてきた悪玉コレステロールの上昇作用はないこと、またステアリン酸には悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きがあることも確認した、との情報が発信されています。
※「コレステロールと脂肪酸の関係」参考
こちらのサイトでは、研究内容などの一次情報が確認できないですし、サイトを運営している機関の立ち位置も不明なため、正直、確からしさは判断できません。。
ただ、その他にも「お肉がコレステロールを上げるエビデンスは無い」と主張する医療関係者や研究者もいるようです。
また、加齢とともにタンパク質不足が問題になるため、むしろ高齢の方は、積極的にお肉を食べた方がからだに良い、と発信している医療関係者もいます。
これらを踏まえると、「お肉はからだに悪いから食べない」ではなく、「食べ過ぎない程度に適度に楽しむ」というスタンスで、お肉以外のことに特に注意すれば良いのでは?と筆者は思うのですが、みなさまはいかがでしょうか?
余ったコレステロールを酸化させない
LDLコレステロールを増やさないことも大事ですが、こちらの対策をより優先した方が効果的かと思います。
活性酸素を減らす
活性酸素と結びつくことで、LDLコレステロールが酸化されます。
そのため、酸化を防ぐためには、活性酸素を減らすことが重要であり、活性酸素を減らすためには、活性酸素を除去する「抗酸化力」を高める必要があります。
抗酸化力はちょっとしたことを意識するだけで高めることができます。「じゃあどうやって?」が気になった方は以下の記事をご覧ください。
中性脂肪を減らす
中性脂肪が多いと、悪玉コレステロールが小型化されやすくなり、小型の悪玉コレステロールは酸化されやすい、という説がありました。
そのため、中性脂肪を適切な量でコントロールすることも考える必要があります。
さきほどの抗酸化力と同様に、中性脂肪についてもけっこうな情報量になるため、追って別記事にまとめたいと思います。
遺伝的にLDLコレステロールが高い人もいる
生活習慣が良好でも、遺伝的な要因により、LDLコレステロールが高い人もいます。
「家族性高コレステロール血症」と呼ばれ、通常であればLDLコレステロールは肝臓で処理されますが、遺伝子の異常によって、肝臓での処理がうまくできない、という病気です。
遺伝的にLDLコレステロール値が高い場合は、若い時から動脈硬化が進んでしまい、心筋梗塞や狭心症といった心臓病を発症する人も少なくないようです。
ですので、血縁者のなかに心筋梗塞や狭心症、脳梗塞など、動脈硬化が一因となる病気を発症した方がいる場合は、例え健康診断のLDLコレステロール値が基準内に収まっていたとしても油断せずに、生活習慣に気を付けることをおすすめします。
最後に
いかがだったでしょうか?
わたし自身は、
「コレステロール自体はからだに必要な物質ではあるものの、きちんとからだに与える影響を理解したうえで、適切な距離感で付き合おう」
ということが勉強になりました。
今回も、みなさまの参考になれば嬉しく思います。
それでは、また!
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